[四国EPO・四国ESDセンターが、みなさんにおすすめしたい!と思った事例をご紹介していきます]
香川県立三本松高等学校「三高みんなの食堂」/ The Cafeteria for Everyone” Kagawa Prefectural Sanbonmatsu High-School/ 香川县立三本松高中「三高大家的食堂」
香川県東かがわ市にある香川県立三本松高等学校は、2020年9月23日に学食をリニューアルオープンしました。多くの学食が抱える経営の難しさに加え、生徒数減少の影響もあり学食利用者の数も減少する中、生徒の多くが地元の食材をあまり食べていないという現状を知った校長先生が、「学食を通して生徒に地元の美味しいものを食べさせたい、食を起点とした学びと交流の拠点として生徒が活動し、地域のよさを知ってもらいたい」との思いから改革をスタート。これまで事務的に行ってきた学食経営を根本から見直し、経営は地元の農業法人に委託、生産者と直接つながることでより新鮮な食材を取り入れることができるようになりました。多角経営をめざす農業法人にとっても、学食への参入は食材の安定的な供給や雇用の確保というメリットがあり、自分たちが高校生の食の安全・安心を担っているというスタッフの自負ややりがいにもつながっています。
さらに、食器やお盆は地域の蔵に眠っていたものを提供頂いて利用しています。漆塗りのお盆など、昔から大切に使われてきたものを使うと見映えも変わり、脱プラスチックに貢献するとともに、生徒たちには「オシャレ」に映るらしく、古きよきものの新しい魅力発見の機会となっています。
また、生徒の学びと体験の場としても食堂を生かす取組をしています。生徒は単なるお客さんではありません。学食のリニューアルに伴い、「三高みんなの食堂プロジェクト」として生徒全員が参加し、自分たちで良い食堂をつくり上げる意識をもって関わっています。さらに、校内でプロジェクトリーダーとして活動する生徒を募り、1~3年生の希望者24人が、広報チーム、デザインチーム、総務チームなどに分かれて活動。勉強や部活などがメインの高校生活の中で、自分の時間を上手にマネジメントして食堂づくりに関わっています。イラスト付きの手描きメニューは生徒の個性や能力が発揮され、見るだけでも楽しいものになっています。また、入り口にかかるのれんも手作りです。このパッチワークでできたカラフルなのれんは、実は革をつなぎ合わせています。東かがわ市は手袋産業が盛んで、通常端切れは廃棄物として処理されますが、卒業生の会社からこの革の端切れを提供してもらい、のれんに生まれ変わらせることができました。
持続可能な学食づくりはまだまだ続きます。「三高みんなの食堂」という名前のとおり、地域全体の関わりがこの食堂の大きな魅力となっています。
■“The Cafeteria for Everyone” Kagawa Prefectural Sanbonmatsu High-School
Kagawa Prefectural Sanbonmatsu High School, in east-Kagawa City, reopened its school cafeteria on September 23, 2020. The innovation of the school cafeteria started when the principal learned that many students were not eating much local ingredients due to management difficulties and the number of decreasing cafeterias. He wanted them to eat delicious local food at the cafeteria, and wanted it to be a place for the students to learn and interact with each other and the community. They renewed the cafeteria management and started to purchase fresh products by outsourcing to a local agricultural corporation. This benefits both the school, and the corporation, as it gives it stable sales of ingredients and also secures employment. Also, the staff gets the satisfaction of knowing they are responsible for providing safe food for the high school students.
In addition, tableware lacquer and trays that were collecting dust in the local warehouse are now being used. Because they had been carefully used then stored for a long time, these trays are now more “fashionable” to the students, and they also contribute to the decrease in the use of plastic.
The school is also making efforts to utilize the cafeteria as a place for learning and experience. Students are more than just customers. With the renewal of the school cafeteria, all the students participate in the “The Cafeteria for Everyone Project” and are a part of creating a good cafeteria together. In addition, they recruited students who will act as project leaders. Twenty-four applicants in the 1st to 3rd grades will be divided into a public relations team, a design team, a general affairs team, etc. Where the main activities in the high school life are studying and club activities, they manage their time well to be involved in creating the cafeteria. The hand-written menu with illustrations demonstrates the individuality and abilities of the students. The sign at the entrance is also handmade. The colorful sign made from this patchwork is actually made of leather. The glove industry is thriving in east-Kagawa City, and scraps usually go to waste, but graduates working for the company provided them with this scraps of leather, and they were able to recreate it as a beautiful sign.
The sustainable school cafeteria creation will continue. As the name “The Cafeteria for Everyone” suggests, the involvement of the entire region is the great feature of this cafeteria.
■香川县立三本松高中「三高大家的食堂」
位于香川县东川市的香川县立三本松高中、于2020年9月23日翻新后开放了学校午餐。除了许多学校共通存在的午餐管理难的问题、还由于学生人数减少、学校午餐利用者的人数也在减少的背景之下、知道许多学生很少吃当地食材的校长、出于「希望学生通过学校午餐吃当地食材、以食物为媒介做为学生学习和交流的活动中心、让学生了解当地的好处」这样的考虑而迈出了改革的第一步。我们从根本上审查了我们过去行政事务式的学校午餐经营管理方式、将午餐经营外包给当地农业法人管理、并与生产商直接联系、以便纳入更新鲜的食材。对有志于多元化经营的农业法人来说、加入学校食品经营具有食材供应稳定以及确保就业之优点、自己承担着高中生的食品安心・安全这样的重任、也会助长他们自己作为工作人员的自豪感和成就感。
此外、把餐具和托盘等尘封已久的地域所藏品提供出来供大家使用。让大家利用自古以来就视为重宝的漆器托盘等、既美观好看、又为实现脱塑料化做出贡献、还为学生增添「时尚」感、并有机会发掘出古器今用的新魅力。
此外、我们还努力利用餐厅作为学生学习和体验的场所。学生不仅仅是客人。随着学校食堂的翻新、所有学生都参与到「三高大家的食堂项目」中来、靠学生自己的能力亲自打造一家好食堂。更进一步、我们还招募了24名一至三年级学生、分别分成公共关系团队、设计团队和一般事务团队等、由他们作为项目带头人在校内负责各项工作。高中生活的主要活动中、如把学习和俱乐部活动中的善于管理自我的时间的能力、运用到食堂的运作之中。带有插图的手画菜单展现了学生的个性和能力、光看菜单也觉得耐人寻味。 此外、在入口处的门帘儿也是手工制作的。这种缝拼制作的五颜六色的门帘儿、实际上是皮革拼接而成的。东香川市的手套产业很兴旺、通常把碎片当作废物处理、由毕业生的手套公司把这种皮革碎片提供给我们、转废为宝使之变成了门帘儿。
学校午餐的可持续发展的创新及努力仍在继续。「三高大家的食堂」顾名思义、整个地区大家一起来参与才是此餐厅的巨大魅力所在。
「環境首都 あどぷと・エコスクール」における取組について Regarding Efforts in the “Eco Capital: Adopt an Eco-school” Program/ 关于组建「环境之都 Adopt・养子生态学校」
徳島県危機管理環境部環境首都課 槌谷幸司
「環境首都 あどぷと・エコスクール」とは、道路や河川で行われているアドプト(養子縁組)方式を学校の環境学習活動に適用し、「地域の人づくりを地域の企業等が支える」という考えの下、事業者・民間団体が「里親」となり、「養子」である学校の環境学習活動を支援する制度で、徳島県が平成19年度に創設した。この制度に基づき、環境の世紀と言われる21世紀をリードする「環境首都とくしま」の実現に向け、高い環境意識のもと主体的に行動する人材育成のため、大塚グループ(大塚製薬㈱、大塚化学㈱、大鵬薬品工業㈱)と学校、県内の環境活動の実践を支援するNPO法人環境首都とくしま創造センターが、毎年養子縁組の協定を締結している。令和元年度から3年度までの3年間は、徳島市加茂名南小学校が「養子」として活動している。
令和元年度の加茂名南小学校の主な取組内容は以下の通りである。
1)加茂名南小学校5年生における総合的な学習の時間の学習のカリキュラムの一環として活動計画に基づき実施した。
2)環境学習出前授業、袋井用水を美しくする会、徳島市環境保全課の方々など、外部講師を活用し現場で活動する人々の声を聞いた。
3)大塚製薬㈱徳島板野工場の見学を行い、環境に対する企業の取組や、ビオトープと生態系の保全に関する企業努力を学び、自分たちの学校にあるビオトープ保全に生かした。
4)校内人権集会及び環境学習フォーラムにて、1年間の学びと取組について幅広い世代に広報と発信をした。
学習カリキュラムや学習計画については、素案を学校が提示し、合同会議の中で大塚3社とNPO法人とで案を練る。学習に必要な経費についても、大塚3社とNPO法人が出し合い、学校の負担軽減と児童の学習支援を積極的に行っている。
この制度により、協定を締結した団体同志が積極的に環境保全への活動を行うことにより相乗効果が生まれる。学校は、企業の取組を直に学べることで、学校の枠を飛び越えた学習が可能になり、より深化した環境学習を進めることができる。他方、企業は、自社での活動をPRするとともに、実際の学校現場の状況を知ることができ、どのような支援のあり方が効果的なのかということを検討しながら、今後の企業活動にもつなぐことができる。NPO法人及び徳島県としては、幅広い団体や世代に向けて、環境意識に対する啓発が行えるとともに、多様なつながりを構築していくことにより、環境首都とくしまを推進することができる。
学校が企業と連携して取り組む環境学習は、児童の学ぶ意欲を高め、環境問題への意識向上に期待ができる事業ではないだろうか。本事業が、さらに深化し、次世代の環境学習支援モデルになるよう願っている。
避難所における車中泊利用/ Overnight use in a car at an evacuation center/ 在避难所车中过夜的利用
四国地方ESD活動支援センター運営委員 山﨑水紀夫
ここ数年、毎年のように各地で大雨による被害が発生している。気象庁はこれらの水害は気候変動による地球温暖の影響が考えられるとし、注意を喚起している。ここ数年の日本周辺の年平均気温は1.14℃上昇しているとのこと。特に2018年の東日本周辺は平年より+1.7℃と過去最高を記録した。その2018年(平成30年)には気候変動適応法が制定され、気候変動を緩和する対策を取りつつも、私たちの生活や経済活動がある一定の気候変動にも耐えられるよう、それぞれが事前に備える適応策の推進が重要とした。
災害が、起こる前にさまざまなことを想定し、複数の選択肢を持つことが適応力では重要。そこで、適応策の1案として、この度高知県内で自治体向けに行われた避難生活における「車中泊訓練」の事例を紹介する。
提案したのは、防災啓発団体「高知防災プロジェクト」(山﨑水紀夫代表)。これまでの豊富な被災地支援の経験から、車中泊の利点や注意点などを利用者と運営者側の視点で訓練を行っている。
避難所に多く使われている学校の体育館は温度・湿度管理ができないという致命的な欠陥があり、災害関連死の大きな原因とされている。ほかにも感染症やプライバシー問題、ペット同伴の人等にとって、このような避難所での生活は困難と感じるケースもあり、車中泊を選択する人は増加傾向にある。こうした背景を踏まえて、自治体も「車中泊」を支援する時期に来ているとして検討が始まった。
「車中泊」の利点は家族以外からの感染症リスクが減らせることや、プライバシーの確保などの他、室内温度調節も可能となるなどの利点もある。その一方で、同じ姿勢で長時間座ることで、いわゆるエコノミークラス症候群のリスクが高まる。そのため足が延ばせるフラットな広さが確保できる車であることや着圧ソックスを備蓄できていることなど、事前に受け入れ条件を周知しておくことが必要となる。また、電気で走るEV車は停電時にも大きな力を発揮する。
避難所の運営側も車中泊に備えた専用スペースの確保と着圧ソックスの備蓄をすすめ、車中泊受け入れ訓練をするなど、新たな適応策を取り込み、適応力を高めることが望まれる。
※避難指示が出ている状態での緊急避難は含んでいない。
■Overnight use in a car at an evacuation center
Shikoku Regional ESD Activity Support Center Steering Committee Mikio Yamasaki
In the recent years, heavy rains has caused damage in various places almost every year. The Japan Meteorological Agency warns that these floods are caused by global warming due to climate change. The average annual temperature around Japan in recent years has risen by 1.14 ℃. In particular, the area around eastern Japan in 2018 reached a record high of + 1.7 ° C from normal. In 2018, the Climate Change Adaptation Law was enacted, and while taking measures to mitigate climate change, it is important for people to prepare measures that withstands the climate change for our lives and economic activities.
To prepare for a disaster, it is important to consider various scenarios and have multiple options. As one option, we will introduce the “overnight car stay” training conducted for local governments in Kochi prefecture.
The proposal was made by the disaster prevention enlightenment group “Kochi Disaster Prevention Project” (Representative Mikio Yamasaki). Based on their abundant experience in supporting disaster-stricken areas, they are teaching the advantages and precautions of staying in a car overnight.
School gymnasiums, which are often used as evacuation centers, have a fatal defect that the temperature and humidity cannot be controlled, and are considered to be a major cause of disaster-related deaths. In addition, there are cases where living in such an evacuation center is difficult for people with infectious diseases, privacy issues, pets, etc., and the number of people who choose to stay overnight in their car is increasing. The local government has also begun to consider that it is time to support this “overnight car-staying” as well.
The advantages of “overnight car-staying“ are that the risk of infectious diseases from non-family members can be reduced, privacy can be ensured, and the indoor temperature can be adjusted. On the other hand, sitting in the same position for an extended period of time can increases the risk of so-called economy class syndrome. Therefore, it is necessary to inform the acceptance conditions in advance to have compression socks and secure a flat area where the legs can be extended such as the back seat. In addition, electric vehicles exert great power even during a power outage.
It is hoped that the evacuation center management side will also improve its adaptability by incorporating new adaptation measures such as securing a dedicated space for staying in a car, stockpiling compression socks, and conducting training to comply overnight staying in the car.
* Emergency evacuation with evacuation instructions issued is not included.
■在避难所车中过夜的利用
四国地方ESD活动支援中心指导委员会成员 山﨑水紀夫
在过去的几年里、每年各地都有大雨造成的灾害。国家气象厅认为这些水灾可能是因为受到气候变化造成的全球暖化所导致的、需要引起人们的重视和关注。这几年日本周边的年平均气温上升1.14°C。特别是2018年东日本周边的气温比常年高出1.7°C、创历史新高。就在2018年(平成30年)颁布了气候变化适应法、一方面采取了逐步减缓气候变化的措施、同时又使我们的生活和经济活动能够经受一定的气候变化、重点做好事先各种应急准备措施以防患于未然。
在灾难发生之前、事前设想多种可能性、要有多种选择、这种应变能力很重要。因此、作为应变措施的一个方案、我们介绍了高知县地方政府所进行的疏散生活「车中过夜训练」的事例。
提议方、是防灾意识启发组织「高知防灾项目」(代表山崎水纪夫)。到目前为止凭借丰富的灾区援助经验、从用户和运营商的角度出发、对车内住宿的好处和注意事项等进行了培训。
学校体育馆、经常用于避难所、有一个致命的缺陷、就是不能控制温度和湿度、据说这是因灾害有关而导致死亡的最大原因。此外对于传染病、隐私问题和携带宠物的人来说、在这样的避难所里生活可能很困难、往往选择在车里过夜的人就会增加。鉴于这一背景、地方政府开始考虑实施支援「车中过夜」的时机正越渐成熟。
「车中过夜」的好处包括减少家庭以外的感染风险、确保隐私、以及室内温度可控。另一方面、长时间同一姿势坐在同一位置会增加患所谓经济舱综合症的风险。因此需要悉知事先所能接受的条件、比如预备确保车内有一定伸脚空间的汽车和自备压力袜子等之类的事项。此外,电动汽车在停电时也发挥巨大作用。
期待避难所的运营商也采取新的适应措施、包括为汽车住宿提供专用空间、储备压力袜子、并接受汽车住宿培训等、以增强应变能力。
※不包括在发出疏散指示的情况下进行的紧急疏散。