四国のおすすめ
[四国EPO・四国ESDセンターが、みなさんにおすすめしたい!と思った事例をご紹介していきます]

森からの贈りもの:日本で唯一の木毛(もくめん)づくり

高知県土佐市にある有限会社戸田商行さんは、国内唯一の「木毛(もくめん)」を製造している事業所です。

木毛を知っていますか?木毛は木材を細長く削りまとめたもので、商品を保護する緩衝材として昔から使われており、日本各地で盛んに製造されていました。しかし、安価なプラスチック製の緩衝材が広く使われるようになると製造工場は減り、製造会社は戸田商行さんだけになりました。

戸田商行さんが木毛を作り続けている理由は、木毛が地域資源を活かした環境保全・循環型の商品であり、森林率84%の高知県の森づくりに役立つこと、そして何より、先代から引き継いだ確かなモノづくりの技術と知恵を継承するという強い思いがあるからです。

そのため、木毛に使う木材は高知県内で伐採された木材にこだわり使っており、つくられた商品は高知県J-VER制度でカーボンオフセットクレジットとして認定されております。

木毛に使われている樹種は松、杉、檜(ひのき)、楠(くすのき)の4種類で、原木を自社で加工し製造しています。汎用性のあるバーカーで樹皮を取り除いた後は、木毛製造機にあわせてカットします。そして、創業時から約60年間稼働している5台の製造機と新たに導入した1台を使い、職人が丁寧に木の目を見ながら削り続けます。削られた木毛は水分が多く、しっとりとしていて、そのままでは使えません。乾燥するために使われる熱源は、製造の過程で出た樹皮や削りくずなどの廃材です。その後、乾燥した木毛は計量・梱包されて国内外へ搬送されていきます。工場では一日最大1トンの木毛を製造していますが、木材は余すところなく使われ、製造工程でごみになる木材はありません。

木毛は3サイズ(幅や厚さ)があり、そのサイズによる弾力や樹種の特徴を活かした使われ方をしています。例えば、一番薄い幅1mm×厚さ0.1mmの松の木毛は人形の詰め物や皮の薄い果物の緩衝材に、同じ幅で厚さが0.15mmのものは、果物やハム、チーズ、陶器や瓶などの緩衝材に使われています。

また、それぞれの木の持つ特徴を活かした商品開発も行われており、檜の香りのリラックス効果を活かした香り袋、楠の防虫効果を活かしたシューズキーパー、松の白さを活かしたリースやブーケづくりなど、活用の幅は広がっています。

最近は地域の持続可能性への意識の高まりとともに、木毛は自然素材を使った緩衝材として注目を集めておりますが、戸田商行さんの森づくりへの思いと、創業者から伝わる職人の技術により生み出された木毛は、緩衝材という脇役でありながら、高知県の84%の森づくりを伝えるメッセンジャーであり、森からの贈り物なのです。

有限会社戸田商行: https://www.toda-shoko.com

四国西予ジオの至宝

 何か冒険を想起するようなワクワクするネーミング! ジオとは、ジオパークを指し、四国西予ジオパークにおいて育まれた珠玉の商品とのこと。これはしっかりチェックしたい!!ということで、四国西予ジオパーク推進協議会事務局長・高橋司さんにお話しをうかがいました。

【四国西予ジオパークの特徴】
 西予市は、2004年(平成16年)、東宇和郡4町(宇和町、野村町、城川町、明浜町)と西宇和郡三瓶町、合計5町が合併したことにより、東は四国カルストを擁する山地で高知県と境を接し、西はリアス海岸の地形の宇和海、標高も1400mから海抜0メートルまで、多様な地形・地質を誇ります。その特性を魅力として発信するとともに、合併前の町を超えた一体感を醸成するために、ジオパークを市の政策・施策の柱とした活動を展開し、2013年(平成25年)9月、日本ジオパーク委員会から市全域が日本ジオパークに認定されました。

 見どころは、日本列島になる以前の古い大地の変動を表す地層が東西に並び、なかには4億年以上前の日本最古級の岩石も顔をのぞかせるという、地質の多様性。また、海・里・山を舞台に、多様で豊かな自然に寄り添う人々の暮らしが繰り広げられていることが重要であり、大きな特徴となっています。

【四国西予ジオの至宝とは】
 食べ物も地形や地質と深い関係にあり、グルメもジオパークの大事な要素です。四国西予ジオパークが有する海抜0mから標高1,400mの標高差の中から産み出される魚介類、柑橘、米、ぶどう、栗、乳製品など、種類も味わいも多彩な産物・加工品を「ジオの恵み」として売り出しています。

 一方、多品目であることが強みである反面、他産地との差別化が図りにくいという悩みがありました。そこで、ジオの恵みの中から地形、地質、そこで暮らす人々の営みといった地域性を打ち出し、大地の特徴を生かしたストーリー性、独自性、安全性、市場性などで高い基準を満たす優れた逸品を「四国西予ジオの至宝」として認定し、発信することによって、四国西予ジオパークの認知度の向上に取り組んでいます。

 
 

 

 

 

 

 

 現在、奥地あじとその加工品、明浜産真珠ネックレス、田力米、カマンベールチーズ森のロマン、四国カルスト天然水ぞっこん、豆道楽豆腐など、9品目を認定しています。
 四国西予ジオパークのHPでは、ジオの至宝一つひとつについて、至宝を生み出す地形・地質・気候などの自然条件と生産者の思いを、迫力のある画像で紹介する「ストーリー」を公開しています。
豊かな自然の恵みを活かす智恵と技術を継承し、創造する人々との出会いも楽しみに、新型コロナウイルスが収束したら「ぜひゆっくりと西予市へ!」との思いを強くしました。

【西日本豪雨からの復興とともに】
 2018年7月の西日本豪雨は、西予市の各地域に甚大な被害をもたらし、現在も復興のさなかにあります。被災によってジオパーク事業を今まで以上に推進する思いを新たにしたと高橋さんは話します。「地域にとって、地球にとって、より意味のある活動を行うことが重要との意識を強くし、ジオパーク活動を支える組織・団体・企業やサポーター、行政機関が情報共有を進め、連携することがカギとなると考えています」。

 多様で質の高い地域資源をいかにプロデュースし、伝えていくか。地域循環共生圏の構築とも重なるジオパーク活動の展開に期待を寄せ、注目していきたいと思います。

 四国西予ジオの至宝 http://seiyo-geo.jp/sihou/
(四国西予ジオパーク>ジオの恵み>四国西予ジオの至宝)

香川県立三本松高等学校「三高みんなの食堂」 

香川県東かがわ市にある香川県立三本松高等学校は、2020年9月23日に学食をリニューアルオープンしました。多くの学食が抱える経営の難しさに加え、生徒数減少の影響もあり学食利用者の数も減少する中、生徒の多くが地元の食材をあまり食べていないという現状を知った校長先生が、「学食を通して生徒に地元の美味しいものを食べさせたい、食を起点とした学びと交流の拠点として生徒が活動し、地域のよさを知ってもらいたい」との思いから改革をスタート。これまで事務的に行ってきた学食経営を根本から見直し、経営は地元の農業法人に委託、生産者と直接つながることでより新鮮な食材を取り入れることができるようになりました。多角経営をめざす農業法人にとっても、学食への参入は食材の安定的な供給や雇用の確保というメリットがあり、自分たちが高校生の食の安全・安心を担っているというスタッフの自負ややりがいにもつながっています。

さらに、食器やお盆は地域の蔵に眠っていたものを提供頂いて利用しています。漆塗りのお盆など、昔から大切に使われてきたものを使うと見映えも変わり、脱プラスチックに貢献するとともに、生徒たちには「オシャレ」に映るらしく、古きよきものの新しい魅力発見の機会となっています。

また、生徒の学びと体験の場としても食堂を生かす取組をしています。生徒は単なるお客さんではありません。学食のリニューアルに伴い、「三高みんなの食堂プロジェクト」として生徒全員が参加し、自分たちで良い食堂をつくり上げる意識をもって関わっています。さらに、校内でプロジェクトリーダーとして活動する生徒を募り、1~3年生の希望者24人が、広報チーム、デザインチーム、総務チームなどに分かれて活動。勉強や部活などがメインの高校生活の中で、自分の時間を上手にマネジメントして食堂づくりに関わっています。イラスト付きの手描きメニューは生徒の個性や能力が発揮され、見るだけでも楽しいものになっています。また、入り口にかかるのれんも手作りです。このパッチワークでできたカラフルなのれんは、実は革をつなぎ合わせています。東かがわ市は手袋産業が盛んで、通常端切れは廃棄物として処理されますが、卒業生の会社からこの革の端切れを提供してもらい、のれんに生まれ変わらせることができました。

持続可能な学食づくりはまだまだ続きます。「三高みんなの食堂」という名前のとおり、地域全体の関わりがこの食堂の大きな魅力となっています。

手袋の端切れで作成したのれん

メニューは素敵な生徒さんの手描き