佐川おもちゃ美術館
四国には、おもちゃ美術館が4箇所ある。
その中で、2023年にオープンしたのが、高知県佐川町にある佐川おもちゃ美術館だ。
佐川町といえば、植物学者・牧野富太郎博士の出身地である。牧野博士にちなんで館内は「木育」だけでなく「植育」をテーマとした内装、什器、おもちゃが充実している。博士の愛した「バイカオウレン」を模した木の花が咲きこぼれるエリアもあり、よく考えられた空間デザインとなっている。
取材に訪れたのは、2024年8月、夏休み期間中で、沢山の方が来場していた。子どもから大人、お年寄りまで、高知県産材がふんだんに使われた館内でくつろぎながら、多世代交流を楽しんでいた。空間を取り巻く建物に目を向けると、梁の部分にはサスペントラス構造が取り入れられ、集成材に曲げがほどこされたドームや土佐組子の階段など、伝統と現代の技術が絶妙なバランスで組み合わさっている。名前だけ聞くと、子どもたちが主役の遊べる美術館というイメージを抱くが、大人にとっても沢山の見所と発見がある美術館だ。
現在、おもちゃ美術館は全国にあり、東京おもちゃ美術館の総合監修のもと、それぞれの地域が設立し、「姉妹おもちゃ美術館協定」に基づき双方が連携しながら運営している。おもちゃ美術館のコンセプトに沿いつつ、地域の文化や歴史、特色もふんだんに盛り込まれている。そのため、1カ所訪問すると他の美術館にも行ってみたくなる。
四国には、徳島県那賀町、徳島市、高松市にある。ぜひ、皆さんに四国のおもちゃ美術館めぐりをおすすめしたい。
写真提供:佐川おもちゃ美術館