四国のおすすめ
[四国EPO・四国ESDセンターが、みなさんにおすすめしたい!と思った事例をご紹介していきます]

環境再生型農業+バイオ炭活用により、循環を育む柑橘栽培へ

 四国最西端・佐田岬半島の自治体、愛媛県伊方町。宇和海側に面した名取地区において、除草剤を使わず、バイオ炭を製造して土壌改良に活用し、農薬や肥料に頼らない柑橘栽培が注目を集めています。

宇和海を望む名取地区の柑橘園地

 その担い手である「ユウギボウシ愛媛」*では、柑橘栽培での除草剤を約20年前からやめ、10年前から肥料・農薬も段階的に減らしていったところ、草をコントロールしやすくなったといいます。草をカバークロップ*として使うことによって肥料・農薬を使用しない「草生栽培」を確立。食味も年々向上し、予約購入を希望する顧客が増えているそうです。

 佐田岬半島の柑橘園地では、柑橘の剪定枝や防風林として植えられているスギやマキの間伐材が発生します。ユウギボウシ愛媛では、それらを焼却し、灰や炭を園地に入れたところ、土に良い効果があることを実感して炭づくりに関心を持つようになり、園地で安全に炭を生産できるユニット式炭化炉に着目しました。令和7年度愛媛県ゼロカーボン・ビジネスモデル創出事業に採択され、8月に県からユニット式炭化炉の貸与を受け、耕作放棄されていた柑橘園地を開墾して設置にこぎつけました。400キロの木材からバイオ炭製造に要する時間が7時間と、効率的に炭づくりができるそうです。

ユニット式炭化炉

 現在炭づくりに参加している地元農家は4戸ですが、近隣の人々も炭づくりとその活用への関心が高く、進捗が見守られているそうです。さらに、地元の三崎高校の生徒が、炭を2~3㎝のサイズにして園地に入れる場合、表面に播くのと土中に入れるのといずれが良いかを実験したり、愛媛大学の学生が園地の整備に参加したりと、若い世代が土づくりや農業を体験する場ともなっています。

 また、土壌中の有機物を高める農法を研究している茨城大学農学部教授と学生が、カバークロップやバイオ炭を撒くことによる土壌微生物や炭素貯留の増加を検証するため、ユウギボウシ愛媛の園地の土壌をサンプリングし、科学的なデータの分析を行っています。2025年6月の土壌分析の結果、ユウギボウシ愛媛の園地では周りの畑に比べてかなり多くの炭素が貯留されていることが判明しています。その後バイオ炭を投入したことによって、さらに炭素が増加していることが期待されるそうです。

茨城大学の皆さんが土壌調査を行っている様子

 すなわち、ユウギボウシ愛媛の園地では、除草剤を使用しないカバークロップによる農法によってCO2排出を抑制し、バイオ炭が土壌中で炭素を長期間貯留するとともに、土壌改良を促進すると考えられています。これらにより、気候変動を緩和し、生物多様性が保全され、持続可能な農業・地域づくりにつなげる展開を見据えています。

 ユウギボウシ愛媛では、これらの取組・情報を可視化して伝えることが必要と考え、「植物たちが根でつながっているように、“根”でつながる社会をつくることが大切」という想いから、「ねのわプロジェクト」をスタートさせ、次の柱を設定しました。
① バイオ炭づくり~土壌と森を再生し、地域の循環を取り戻す
② 教育プログラム~土壌再生の過程を共に体験する学びの場づくり
③ 地域コミュニティ~従来のテロワールに土壌の価値を加味したエシカルテロワールをコミュニティに広げる
④ 経済・商品~地域の資源を活かす経済循環の創造

 これらの柱それぞれに、地域の人々や専門家との連携を広げ、深めながら活動を進めています。そして、各地でこの環境再生型農業+バイオ炭の農法が導入され、地域固有のエシカルテロワールが育まれることを目指しています。

ユウギボウシ愛媛の柑橘(清見タンゴール)園地

*ユウギボウシ愛媛:柑橘農家、宮部元治氏の園地の屋号。現在1.6haほどで柑橘を栽培しており、近隣農家からの依頼を受けて管理する園地が増加している。
*カバークロップ:主作物の休閑期や栽培時に、土壌浸食の防止や土壌への有機物の供給などのために、畑の空いているスペースに栽培する植物

会社の中に駄菓子屋さん?建設会社の「お節介」な取組

「このお菓子いくらですか?」「全部で120円だよ」
建設会社の事務所とは思えない、会話が聞こえてくる。

徳島県西部のつるぎ町で建設業を営む株式会社井上組の事務所には駄菓子コーナーがあり、学校帰りの子どもたちや地元のおばあちゃん、子ども連れの家族などが駄菓子を求めてやってくる。

井上組が駄菓子コーナーを設置したのは、地域から駄菓子屋さんが無くなったこと。はじめは机を1つ置いて、そこに駄菓子を並べていただけだったものが、メディアでも取り上げられるようになり、認知度とともに商品バラエティーも充実していった。

駄菓子コーナーの様子

また、駄菓子コーナーを設けたことで、災害時に役立ったこともある。豪雪に見舞われ、食料品が手に入りにくくなった時、災害復旧に務める人たちの非常食として使用された。

事務所の入口には、地域の見守り活動として扉のポスター横に「こどもをまもる家」の掲示がある

事務所には遠足前になると多くの子どもたちが駄菓子を買いに来る。普段から駄菓子屋に来る子どもたちは、ただ駄菓子を買うだけでなく、そこで友達と喋ったりカードゲームで遊んだりしている。子どもたちにとってこの場所は、日常の中にある当たり前の“居場所”としての役割も果たしている。

 

半田そうめんの産地ならではの地域産品

だれもが気軽に足を運べる駄菓子コーナーが、平時の子どもたちの居場所づくりや、災害時の備えにも発展してきた「お節介」活動。地域のつながりを育み、コミュニティの持続性を高め、会社の基盤を強くしていく。そんな素敵な循環を見つけることができる井上組に、皆さんも駄菓子を買いに行ってみませんか?と私たちもお節介をつなげていきたい。

 

自然のジェラートを“頓服する” TONPUKUの取組

「疲れた時に、アイスやジェラートを食べると元気が出ませんか?」
徳島県勝浦町では、11~3月がみかんの収穫期にあたります。東京から勝浦町にみかん農家として夫婦で移住した石川さんにとって、忙しい時期に疲れた体を癒してくれたのがアイスやジェラートでした。

みかんが出回るシーズンは限られますが、ジェラートなら年中届けることができる上に、自分たちが美味しいと思ったさまざまな素材を使った味を届けることができます。そんな気づきがきっかけとなり、石川さんはあっという間に開業をすることになりました。店名の「TONPUKU」は、体を回復させる際に服用する「頓服する」という言葉に由来し、アイスやジェラートを食べて体を癒した経験が元になっています。

Photo by ヤマザキノブアキ

Photo by ヤマザキノブアキ

TONPUKUが提供するジェラートは、果実の含有量を多めにしているため「圧倒的な果実感」を得られるのが特徴です。また、果実だけでなく地元の産直市や農家から仕入れた、イタドリや山椒といった山の食材を使ったジェラートもあります。山の食材から作ったジェラートの多くは、周りの農家やお客さんの提案から試作されます。

写真は、阿波和三盆トンカ(徳島県の和三盆とトンカ豆)と石川さんが育てたスダチを使ったジェラートです。他にも季節によってさまざまな味のジェラートを作ることができます。

「頓服する」と聞いたら、ジェラートを食べて回復することだと思えるようになってもらいたい!石川さんからお聞きした今後の抱負です。みかんからスタートし、山菜や野菜も取り入れるようになったジェラートづくり。石川さんを取り巻く地域の方々のアイディアを実現し、つながりが広がっています。これからどんなオリジナルのフレーバーが誕生するか楽しみです。

TONPUKUの最新営業時間やイベントへの出店情報は、コチラからご覧ください。https://www.instagram.com/tonpuku.jp/