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廃校が水族館に!「むろと廃校水族館」

高知県室戸市室戸岬から徳島方面に位置する椎名地区には2006年3月末に廃校となった小学校を活用した水族館があります。運営しているのは特定非営利活動法人日本ウミガメ協議会(本部:大阪府枚方市)です。2001年からこの周辺の3つの地域(高岡・三津・椎名)の漁師の協力を得ながら定置網にかかったウミガメの調査を続けています。その調査により、これまでに太平洋に冬場はウミガメがいないとされていた仮説を覆し、ウミガメ類の実態解明にもつながっているとのことです。このような活動の蓄積を知ってもらい、地域振興にもつなげたいと、2018年4月に「むろと廃校水族館」をオープンしました。

この水族館は学校の既存の施設を活用したり、新たな設備の導入で、この「廃校」から見える海の生きものの豊かさを実感することができます。例えばかつては地域の子どもたちが泳いでいた屋外プールでは、サメやサバ、ウミガメ等が泳いでおり、校舎の上やプールの間際などから、群れて泳いでいるサバや、単独で回遊するシュモクザメ、それぞれ気ままに泳いでいるカメ等の姿を楽しむことができます。

校舎の中の手洗い場はタッチングプールです。ナマコや巻貝などを触ったり、観察したり、子どもだけでなく大人にも大人気です。廊下に並んだ水槽には、ウツボや伊勢海老、ゴンズイ、タコ、ウツボの他、カラフルな魚たちが室戸の海の生きものの豊かさを伝えてくれています。教室の中央には大きな円形プールがあり、イワシやカメ、エイなどが悠々と泳いでいます。この水族館で特徴的なのは、それぞれの生きものの解説がとても分かりやすいことばで書かれていることです。例えば、きれいな色彩のカゴカキダイは水槽で発生するイソギンチャクやゴカイなど、見た目を悪くする動物を食べてくれるので、水槽の掃除屋さんの役割も担っていると日本語と英語で表記されています。水族館への新しい魚は「転入生」として紹介されており、来館者は海の生きものを生徒としてその姿を確認する参観日の保護者のような感覚になります。

特に注目したいものは、理科室に展示されているウミガメの消化管内容物です。いろいろな用途に使われていたと思われるプラスチック、マイクロプラスチックが多数飲み込まれていたことがわかり、海で浮遊しているごみの状況が想像できます。

「むろと廃校水族館」を運営している日本ウミガメ協議会があえてこの水族館の名前に「廃校」ということばを使ったのは、これまで講演で訪れた学校が廃校になっていく現実や、「廃校」という語句が日本中で日常的に使われるようになっていることなどに思いを馳せて、「廃校」に子どもたちの声や笑顔があふれるように、また、「廃校」の利活用が地域活性化につながるようにという思いが込められているとのことです。

この取り組みは、SDGsの14(海の豊かさを守ろう)を中心に、4(質の高い教育)、11(住み続けられるまちづくり)、17(パートナーシップで達成)に加え、さらに調査物を見ることで、12(つくる責任、使う責任)に関連しています。このようなさまざまな要素を含む「むろと廃校水族館」はオープン6か月未満で1年間の来場者目標数4万人を突破しました。平成14年度から27年度の間で廃校になった全国の公立校は約6800、うち、活用されている廃校は約4200とのことです。地域活性化や笑顔があふれる拠点としての工夫に注目が集まります。

マイボトルの利用促進に向けたオアシスマップの作成

海に流出しているプラスチックごみの問題がニュースで頻繁でとりあげられるようになりました。この問題は、持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)の目標14にも明記されており、海洋ごみの削減や海洋汚染の防止は世界的な課題となっています。

私たちの生活の中で、現在、プラスチック製品は大量に使われています。一部、リサイクルされているものもありますが、自然界へ流出したプラスチックは破片化(マイクロプラスチック)し、魚や鳥の体内に蓄積されるなどの生態系への影響が懸念されています。

プラスチックごみ削減に向けての取り組みが、さまざまな所で検討され始めている今、香川県のNPO法人アーキペラゴの呼びかけで使い捨て飲料用プラスチックボトル(飲料ペットボトル)を削減し、マイボトル(水筒)の使用を推進する取り組みが始まりました。

マイボトルを使ったことのある方は、途中で飲みきって困った経験をお持ちの方も多いと思います。この取り組みは、マイボトルの水やお湯の補給に協力してもらえる店舗や公園、公共施設等の情報を収集し、オアシスマップとして公表していくものです。補給に協力してもらえる店舗等へは、ステッカーの配布も行います。http://www.archipelago.or.jp/scf/oasismap/

取り組みに賛同くださった飲食店の第1号は高松市内のうどん屋さんでした。アーキペラゴでは、年内に200箇所の補給ステーション開設を目指しているそうです。

  

香川発の取り組みが、全国、世界に広がるように、私たちも応援していきたいと思います。

後継者をそだてる取組~勝浦川流域フィールド講座~

勝浦川流域フィールド講座は、徳島県勝浦郡、小松島市、徳島市を流れる勝浦川の流域をフィールドに、自然の魅力や課題を学ぶ連続講座である。講座内容は、自然と人の生活とのつながりや、自然環境が直面している課題などを、研究者や取組実践者から座学とフィールドワークを通して学ぶプログラムになっている。必要な条件を満たせば、徳島県から生物多様性リーダーに認定される。四国のように自然が身近にある環境であっても、森林の荒廃や生物生息域、種の減少などは広く知られていない。遠くから見ているだけではわからない、切迫した現状を知る機会にもなっている。

この講座は2018年で第5回を迎え、たくさんの生物多様性リーダーが育っている。生物多様性リーダーは、とくしま生物多様性リーダーチームを結成し、それぞれが得意な分野で、生物多様性の重要性や保全について発信を行ったり、フィールド講座の講師やスタッフを務めたりしている。さらに、講師を務める市民団体や環境団体の代表自身のスキルアップにもつながっている。このように、人材育成のしくみと、講座修了生が生物多様性リーダーとして活躍していることが評価され、生物多様性アクション大賞2017ふれよう部門優秀賞を受賞した。2018年度も4月から講座が開講され、新しいリーダーが育っていく。

多くの団体で課題になっている人材育成や、後継者育成のヒントがこの取組にあるのではないか。