四国のすごい![四国EPOがすごいと思った四国の環境情報をお知らせします]
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愛媛県西予市で行う「3しょくプログラム」

愛媛県西予市に、多くの人々に親しまれる「王国」がある。

どんぐり王国は、不登校・引きこもりの青少年及びその保護者に対して、学校復帰、社会復帰の支援に関する事業を行い、子育て全般のサポートを行うNPO法人だ。名水100選の観音水が流れる愛媛県西予市宇和町にあり、王国では農業体験学習、牛・馬・鶏・犬・ヤギなど、たくさんの動物とのふれあい体験ができる。自然や動物たちに囲まれたこの環境で、これまでに多くの子どもたちの心のケアをしてきた。

そして昨年からは「Green Gift地球元気プログラム」で新たなプロジェクトに取り組んでいる。本プログラムは、東京海上日動火災保険株式会社が顧客との契約時に「ご契約のしおり(約款)」等をホームページで閲覧することを選択することで発生する紙資源使用料削減額の一部で国内外の環境保護活動をサポートする取り組みで、現在は全国21団体と協働で実施している。
(参照:東京海上日動HP http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/world/greengift/about/

愛媛県では、どんぐり王国が実施団体となり、触(ふれる) 植(そだてる)食(あじわう)の3つの「しょく」をキーワードにした体験学習イベントを年間2回実施。8月20日には2回目のイベントが開催され、定員を超える39名の親子が参加した。

まず「触・植」では、ビオトープの観察や、源流探検を通じて自然に触れることをテーマに、5月に実施した1回目のイベントではビオトープの周りに植樹した植物が、どのように成長しているか、池の様子、住み着いた生物などと合わせて観察した。講師の先生が子どもたちと対話型で話を深めていく様子が印象的だった。

そして参加者・スタッフを含め最も楽しみにしている「食」は、牛・馬・鶏の堆肥を使った循環型有機農業を行っている王国ならではの企画。王国産もち麦の入った麦ご飯とさつま汁、新鮮な卵、野菜がふんだんに使用された絶品料理は、子育て支援部の女性たちの協力があってこその企画となった。

どんぐり王国のイベントはリピーターが多く、今回の「3しょくプロジェクト」で実施したイベントも、1回目から続けて参加する親子の姿があった。さまざまな人が繋がり、学びあう拠点として、今後、どのようなギフトを地域の子どもたちに届けていくのか、どんぐり王国の活動に今後も注目していきたい。

親子で学ぶエシカル消費

徳島県では、県を挙げてエシカル消費の普及啓発に取り組んでいる。エシカル消費とは、倫理的消費という意味で、フェアトレードや地産地消などがそれにあたる。このエシカル消費を広く知ってもらうため、イオンモール徳島にて親子を対象にした「イオンdeエシカル消費」が開催された。

はじめにエシカル消費やそれにつながるマークの説明を受けた後、売り場に設置されたチェックポイントを回り、マークの意味やイオンでの取り組みを学んだ。チェックポイントのすぐ横には、マークがついた商品が並んでいる。参加者からは、「講義で聞くよりも、売り場で実物を見ながら学ぶほうがわかりやすい」という声が聞こえた。気をつけて見てみると、たくさんの商品にエシカルに関わるマークがついていることに気づく。

講義で紹介された「エシカル」は、
え  →「え」いきょうを
し  →「し」っかりと
かる →「か」んがえ「る」
(出展:一般社団法人エシカル協会 『エシカルの覚え方』 http://ethicaljapan.org/)

と覚えるそうだ。実際、買い物をするときには、その商品を購入したらどんな影響があるかを、購入する前に一度考えてみようという呼びかけである。

名目国内総生産(GDP)に占める家計消費の割合は、54.1%(平成28年度)にもなる(出展:内閣府国民経済計算)。家庭での消費は、社会に大きな影響を及ぼすことが、数字からも裏付けられている。

エシカル消費に関する普及啓発の取組として、このような講座のほかにも、消費者大学校大学院での「エシカル消費・食品表示コース」設置や今後3年間で県内全高校へのエシカルクラブ創設などが予定されている。

いつもの買い物で商品を選ぶときには、ぜひ一呼吸おいて「えいきょうを しっかりと かんがえる」を実践してみてほしい。

シカの食害から三嶺の森を守る活動をまとめた冊子の発行

三嶺(1,894m)は、四国の徳島県と高知県の県境にあり、太平洋に注ぐ物部川源流の一つの山でもある。徳島県側では「みうね」と呼ばれ、高知県側は「さんれい」と呼ばれているこの山は、植林が多い四国山地では希少な自然が残る数少ない山として、多くの登山家に親しまれてきた。しかし、2000年頃からニホンジカ(以下、シカ)による地面を覆っていた下草や樹木の食害が現れ始め、山の姿はあっという間に大きく変わった。ものすごいスピードで、山肌は裸地化し、樹木は立ち枯れ状態となった。

「三嶺の森を守るみんなの会」代表の依光良三氏は「多少の雨ではびくともしなかった森が脆弱な森に変わった」と言う。大雨が降ると裸地化した山肌は崩れ、流れた土砂はダムにたまり、河川の汚濁は長期化、アユなどの生き物にとってもすみにくい環境に変化していったということだ。森の状態は、下流域にまで大きな影響を及ぼすのだ。

2007年その自然を再生しようと、NPOや研究者などさまざまな立場の人や組織が集まり、この会の設立となった。だれもがこの愛すべき三嶺の自然の復活と山の崩壊を防ぐことを願い、子どもから専門家まで実に多様な主体が、多様な方法でその保護に携わることとなった。まさしく産学官民の大きな協働取組である。そして約10年。今回発行した冊子には山嶺の自然豊かな森の変容と、人々の活動が写真で分かりやすくまとめられている。特にこの10年間の保護活動と植生の調査・検証、食害と土壌浸食の関係性の調査結果は、今後の活動や他地域での活用が期待される。その他、協働の取組の観点からも大変参考となる冊子である。

この取組は昨年度の四国環境パートナーシップ表彰の森里川海部門賞を受賞した。森の再生は道半ばのところ、地元のスーパー「土佐山田ショッピングセンター」がこの活動に共感し、7月31日までの約1ヶ月半の間、この活動を支援する取組が実施された。対象とした商品を1点購入すると売り上げの中から1円の寄付が団体に送られる仕組みで、消費者が地域の活動を応援できる身近な取組として注目されている。

四国では、シカによる食害のうち新たな被害も出ているとのこと。人と自然のよりよい共存に向けて、四国での経験は一冊の本にまとめられた。ぜひ、皆さんにもお勧めしたい。