四国のすごい! Shikoku’s that is awesome! 了不起的四国![四国EPOがすごいと思った四国の環境情報をお知らせします]
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豊島(てしま)展・記念シンポジウム~ごみ問題に向き合う

瀬戸内海の豊島(香川県)における産業廃棄物不法投棄事件をご存知でしょうか。1975年に業者による有害産業廃棄物処分場の許可申請に端を発し、住民による反対運動、取締りの要請にもかかわらず、不法投棄が1990年まで続けられました。住民・市民は中坊公平氏ら弁護団の支援を得て廃棄物の撤去を求める運動を展開し、ようやく2000年に香川県との公害調停が成立。2003年から廃棄物の撤去と直島での無害化処理が開始されました。そして、2017年3月に最後の廃棄物搬出船が豊島を出航し、42年にわたって続いた住民と市民の活動は区切りを迎えました。

<愛媛大学ミュージアムで開催の豊島展>

日本最大規模と言われた不法投棄と向き合った豊島の経験をこれからの社会に活かそうと、その過程を写真パネル等で振り返る「豊島展」がNPO法人瀬戸内オリーブ基金(以下、オリーブ基金)によって開催されています。オリーブ基金はこの展示を通して、「都市部で発生した大量のごみが不法投棄によって抵抗力の弱い過疎の島に流入し、住民が死にものぐるいの声をあげなくてはならなくなったこと」「破壊された自然を回復するためには莫大な費用と手間がかかること」「大量廃棄の社会から資源循環型社会・持続可能な社会への転換を考えなくてはならないこと」を伝えたいとのメッセージを掲げています。


<展示の様子>

「豊島展」は2017年7月に高松市、同11月に東京都豊島区において行われ、本年10月24日~12月17日には愛媛大学法文学部兼平研究室が主催に加わり、愛媛大学ミュージアム企画展示室にて開催されています。11月24日には、同展の開催を記念してシンポジウム「豊かな島と海を次の世代へ」が開催され、豊島事件を振り返るとともに、マイクロプラスチックに関する世界の取組と研究の報告、パネルディスカッションがありました。
「マイクロプラスチックも豊島の問題も、ごみが自分の目の前から無くなりさえすれば問題にしないという、これまでの消費者の姿勢が生み出したもの。一人ひとりが自分事としてごみの問題に向き合うきっかけにしていただきたい」と、オリーブ基金の担当者がシンポジウムへの期待を話されていました。

<豊島展記念シンポジウムの様子>

マイクロプラスチックの存在と環境への影響が発信されるようになり、ごみ問題は待ったなしで向き合うべき課題との認識が高まっています。海ごみについては世界的な規模は計り知れず、発生の抑制と存在するごみの除去を果てしなく継続する必要があります。が、豊島事件に向き合ってきた市民が解決の道を切り開いてきたように、「決してあきらめず、多様な関係者が協働して対応を進めていくことが大切」という思いを強くすることができました。豊島の知見を踏まえ、愛媛大学などの最新の研究を学びながら、海に囲まれ、海の恩恵を受けて来た四国から、取組が発信できるよう、活動と連携を発展させていきましょう。

豊島産廃問題については、オリーブ基金が制作した専用サイトをご参照ください。
豊島・島の学校「豊かな島と海を次の世代へ」
http://www.teshima-school.jp

四国地方における森里川海流域連携事例集ができました

環境基本計画は、環境基本法に基づき、政府の環境保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱等を定めます。その第五次環境環境基本計画が、平成30年4月に中央環境審議会の答申を受け、閣議決定しました。

内容には、分野横断的な以下の重点戦略が書かれています。

1 持続可能な生産と消費を実現するグリーンな経済システムの構築
2 国土のストックとしての価値の向上
3 地域資源を活用した持続可能な地域づくり
4 健康で心豊かな暮らしの実現
5 持続可能性を支える技術の開発・普及
6 国際貢献による我が国のリーダーシップの発揮と戦略的パートナーシップの構築

その中には、地域の活力を最大限に発揮する「地域循環共生圏」の考え方を新たに提唱し、
各地域が自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支えあう取り組みを
推進していくことが示されました。

四国でもこの流れを受け、平成29年度に四国内で森里川海流域連携に関わる団体と、
課題共有のための会合を行い、この10月に各団体の活動をとりまとめた
「四国地方における森里川海流域連携事例集」を発行しました。四国内では、さまざまな流域連携に関係する取組が行われています。今後は、第五次環境基本計画で示された「地域循環共生圏」の考え方に沿いつつ、
ともにこのテーマに取り組むネットワークを広げていく予定です。

森里川海流域連携事例集

廃校が水族館に!「むろと廃校水族館」

高知県室戸市室戸岬から徳島方面に位置する椎名地区には2006年3月末に廃校となった小学校を活用した水族館があります。運営しているのは特定非営利活動法人日本ウミガメ協議会(本部:大阪府枚方市)です。2001年からこの周辺の3つの地域(高岡・三津・椎名)の漁師の協力を得ながら定置網にかかったウミガメの調査を続けています。その調査により、これまでに太平洋に冬場はウミガメがいないとされていた仮説を覆し、ウミガメ類の実態解明にもつながっているとのことです。このような活動の蓄積を知ってもらい、地域振興にもつなげたいと、2018年4月に「むろと廃校水族館」をオープンしました。

この水族館は学校の既存の施設を活用したり、新たな設備の導入で、この「廃校」から見える海の生きものの豊かさを実感することができます。例えばかつては地域の子どもたちが泳いでいた屋外プールでは、サメやサバ、ウミガメ等が泳いでおり、校舎の上やプールの間際などから、群れて泳いでいるサバや、単独で回遊するシュモクザメ、それぞれ気ままに泳いでいるカメ等の姿を楽しむことができます。

校舎の中の手洗い場はタッチングプールです。ナマコや巻貝などを触ったり、観察したり、子どもだけでなく大人にも大人気です。廊下に並んだ水槽には、ウツボや伊勢海老、ゴンズイ、タコ、ウツボの他、カラフルな魚たちが室戸の海の生きものの豊かさを伝えてくれています。教室の中央には大きな円形プールがあり、イワシやカメ、エイなどが悠々と泳いでいます。この水族館で特徴的なのは、それぞれの生きものの解説がとても分かりやすいことばで書かれていることです。例えば、きれいな色彩のカゴカキダイは水槽で発生するイソギンチャクやゴカイなど、見た目を悪くする動物を食べてくれるので、水槽の掃除屋さんの役割も担っていると日本語と英語で表記されています。水族館への新しい魚は「転入生」として紹介されており、来館者は海の生きものを生徒としてその姿を確認する参観日の保護者のような感覚になります。

特に注目したいものは、理科室に展示されているウミガメの消化管内容物です。いろいろな用途に使われていたと思われるプラスチック、マイクロプラスチックが多数飲み込まれていたことがわかり、海で浮遊しているごみの状況が想像できます。

「むろと廃校水族館」を運営している日本ウミガメ協議会があえてこの水族館の名前に「廃校」ということばを使ったのは、これまで講演で訪れた学校が廃校になっていく現実や、「廃校」という語句が日本中で日常的に使われるようになっていることなどに思いを馳せて、「廃校」に子どもたちの声や笑顔があふれるように、また、「廃校」の利活用が地域活性化につながるようにという思いが込められているとのことです。

この取り組みは、SDGsの14(海の豊かさを守ろう)を中心に、4(質の高い教育)、11(住み続けられるまちづくり)、17(パートナーシップで達成)に加え、さらに調査物を見ることで、12(つくる責任、使う責任)に関連しています。このようなさまざまな要素を含む「むろと廃校水族館」はオープン6か月未満で1年間の来場者目標数4万人を突破しました。平成14年度から27年度の間で廃校になった全国の公立校は約6800、うち、活用されている廃校は約4200とのことです。地域活性化や笑顔があふれる拠点としての工夫に注目が集まります。