四国のすごい![四国EPOがすごいと思った四国の環境情報をお知らせします]
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シカの食害から三嶺の森を守る活動をまとめた冊子の発行

三嶺(1,894m)は、四国の徳島県と高知県の県境にあり、太平洋に注ぐ物部川源流の一つの山でもある。徳島県側では「みうね」と呼ばれ、高知県側は「さんれい」と呼ばれているこの山は、植林が多い四国山地では希少な自然が残る数少ない山として、多くの登山家に親しまれてきた。しかし、2000年頃からニホンジカ(以下、シカ)による地面を覆っていた下草や樹木の食害が現れ始め、山の姿はあっという間に大きく変わった。ものすごいスピードで、山肌は裸地化し、樹木は立ち枯れ状態となった。

「三嶺の森を守るみんなの会」代表の依光良三氏は「多少の雨ではびくともしなかった森が脆弱な森に変わった」と言う。大雨が降ると裸地化した山肌は崩れ、流れた土砂はダムにたまり、河川の汚濁は長期化、アユなどの生き物にとってもすみにくい環境に変化していったということだ。森の状態は、下流域にまで大きな影響を及ぼすのだ。

2007年その自然を再生しようと、NPOや研究者などさまざまな立場の人や組織が集まり、この会の設立となった。だれもがこの愛すべき三嶺の自然の復活と山の崩壊を防ぐことを願い、子どもから専門家まで実に多様な主体が、多様な方法でその保護に携わることとなった。まさしく産学官民の大きな協働取組である。そして約10年。今回発行した冊子には山嶺の自然豊かな森の変容と、人々の活動が写真で分かりやすくまとめられている。特にこの10年間の保護活動と植生の調査・検証、食害と土壌浸食の関係性の調査結果は、今後の活動や他地域での活用が期待される。その他、協働の取組の観点からも大変参考となる冊子である。

この取組は昨年度の四国環境パートナーシップ表彰の森里川海部門賞を受賞した。森の再生は道半ばのところ、地元のスーパー「土佐山田ショッピングセンター」がこの活動に共感し、7月31日までの約1ヶ月半の間、この活動を支援する取組が実施された。対象とした商品を1点購入すると売り上げの中から1円の寄付が団体に送られる仕組みで、消費者が地域の活動を応援できる身近な取組として注目されている。

四国では、シカによる食害のうち新たな被害も出ているとのこと。人と自然のよりよい共存に向けて、四国での経験は一冊の本にまとめられた。ぜひ、皆さんにもお勧めしたい。

昔から使われてきた生活雑貨から見える循環型社会における課題

日本の高温多湿な風土の中で培われてきた草履を作るお百姓さんが、四国にもいることを聞き、取材で訪問した。達痲工房の寺田さんは、香川と徳島の県境集落で、注文を受けて編んだオーダーメイド草履を全国のお客さんに販売しながら、お百姓さんを続けている。

四国内で、自身で七島いを育てながら草履を編むことを生業にしている人は、彼だけだと聞いた。七島いは、カヤツリグサ科でシチトウ(別名リュウキュウイ)という。古代、エジプトの紙などにも使われる「パピルス」の仲間で、古くは現在のトカラ列島で栽培され、栽培用として国内に持ち込まれ普及したのが始まりと言われている。

通気性が良く、摩擦摩耗にも強く、使い込むほどに美しい艶が出るのが特徴で、琉球畳の畳表や仏間の畳、柔道畳などで使われていた。そんなシチトウは、い草や化学繊維の導入で需要が減るとともに、海外からの安い原料輸入の影響を受け、現在、日本国内での生産はもはや風前の灯火となっている。主な生産地の大分県においても、高齢化等の影響で生産の継続が年々厳しくなっている。

そんな希少草履の耐久性は2年程とのこと。鼻緒や靴底のメンテナンスを行いながら、除々に足に馴染んだ草履を長く大事にはく。天地の恵みをふんだんに受けた草履は、現代の靴に自分の足を合わせるのとは、逆の発想である。

SDGs(持続可能な開発目標)にある、生産と消費が注目されている。草履生産と消費サイクルにおいて、持続可能性の実現が難しい状況にありながら、寺田さんは何とかこの生業を基軸とした百姓生活の持続可能なものにするため、挑戦を続けている。

市民のライフスタイルや消費の変化が、どこまでその挑戦に答えることができるのか。草履の事例だけでなく、さまざまな伝統文化の継承においても同じ課題を抱えていることを改めて実感した。

愛媛の高校生グループwakuwaku-youthのグローカルな取り組み

2016年から2030年までの15年間を期間に世界中で取り組む、「SDGs(持続可能な開発目標)」。目標達成のためには、地域ごとの持続可能な社会づくりに向けた活動の積み重ね、多様な世代の参画が不可欠だ。

 

2017年3月、SDGsをキーワードとし、自分たちにできることを地域で実践することを目的に、高校生グループ「wakuwaku-youth(わくわくユース)」が発足した。

発足メンバーは愛媛県内の高校生7名。ユースにできることを模索し、国際・環境・教育など多岐にわたるグローカルな問題の解決をめざし、ユース同士が学びあい、育ちあう場づくりに取り組んでいる。

 

3月にグループが発足して以降、特に注目しているテーマは「フェアトレード」だ。フェアトレードは、生産者に配慮した公平な貿易のことで、SDGsの目標1「貧困をなくそう」、目標12「つくる責任、使う責任」などに関連しているとともに、近年四国内でも関心の高まっている「エシカル消費」、「思いやり消費」などの理念とも関連が深い。

 

そこで3月末には、日本国内で3番目のフェアトレードタウンに認定された神奈川県逗子市を訪問。自治体や市民活動団体が連携したまちづくりの取り組みについて、逗子フェアトレードタウンの会の協力を得て、逗子市長、逗子市在住のユースとの意見交換を実施した。

さらに、昨日5月21日に香川県高松市で行われた「さぬきマルシェinサンポート」と連携して開催された「フェアトレードまつりinかがわ」へ参加。フェアトレード商品の販売体験、来場者へのインタビュー調査等を実施し、フェアトレードのPR活動を行った。また、同イベントに出展していた地元香川の高校生・大学生との交流を通して、ユース同士で学びあいを深め、今後の活動に繋がる大きなヒントを得た。

 

グループ発足後、ESD、SDGsなどのグローバルな視点を学びつつ、自分たちが暮らす地域で足元から実践できることを模索し続け、現在では新たな活動にチャレンジし始めている。

今後は、フェアトレード商品販売促進として、モザンビークの女性の自立支援につながる「くるみボタンのヘアゴム」を愛媛県内の美容院で販売できるよう、フェアトレードやヘアゴムについて説明した小冊子を作成し、店舗への協力を呼びかける予定だ。

 

持続可能な社会づくりに向けたwakuwaku-youthのグローカルな活動に、今後も注目していきたい。