新玉小学校のサマーチャレンジ(愛媛県松山市立新玉小学校)
7月23日、「現代社会の課題について、身近なところから学び、持続可能な社会づくりの担い手を育む」という主旨のもと、愛媛県松山市にある新玉公民館にてサマーチャレンジが開催されました。
夏休み期間中の新玉小学校の子どもたち(約90名)が公民館や大学、NPO法人、中学生、愛媛県に在住する外国人と共に、「食」、「キャリア教育」、「国際理解」、「環境」の4グループに分かれて、理解を深めました。
「国際理解」グループで行われたワークショップの1つ、貿易ゲームでは、班ごとに与えられた道具(はさみ、鉛筆、型紙)や資源(布)を使い、既定の大きさに設定されている製品(布を切り取った星型、小さい丸型、大きい丸型)を作りました。また、各班内で総理大臣(もしくは王様)、外務大臣、環境大臣の役割を割り振り、それぞれの役割を果たしました。例えば、外務大臣は唯一、班外(外国)へ行くことができる立場で、作成した商品を世界銀行に売りに行くなど、外交を担当。環境大臣は、環境問題について話し合うために会議に参加し、総理大臣はグループの意見をまとめるなどの役割を担いました。
実は、最初に与えられた「はさみの数」、「鉛筆・型紙の有無」、「借金の有無」などは各班で差が設けられており、世界銀行の各班への対応も「威圧的で製品の値段を不当に安く買い取る」、「質が少し悪くても買い取る」など異なっていました。
子どもたちは与えられた道具で一生懸命に製品を作成する中で、はさみが不足している班と布が不足している班でお互いに足りないものを交換したり、型紙に布を重ねて製品を作る速度を上げるなど工夫をこらすようになりました。また、適時開示される「製品価格の暴落」や「新しい資源の発掘」など、状況の変化を伝えるニュースの重要性や、国を担うという役割を全うすることの大変さ、生まれた場所により使用できる資源が異なることへの不公平感など、さまざまなことを感じていました。
最後のふりかえりでは、留学生から、『子どもたちが「どのように考えているか」、「協力が必要とされる際にどのように関わり合うか」、「先生がどう教えるか」などを学ぶ良い機会となった。日本でいる間に学んだことを自国に持ち帰り、子どもたちに教えたい。』また、『一人一人が国をつくる。教育の大切さを改めて実感した。』などの感想があがりました。
これからの日本、そして世界を担う子どもたちへの「教育」の重要性や「ESD(持続可能な開発のための教育)」の取り組みがもっと広がっていくように、四国EPOも引き続き、支援・取材していきます。
石鎚山で環境配慮型トイレ本格稼働
西日本最高峰の石鎚山(1982メートル)に、平成26年11月20日、石鎚山公衆トイレ休憩所がオープンしました。場所は、西条市側の登山口・成就からの登山道と久万高原町側の登山口・土小屋からの登山道が出合う地点、標高1820メートルの二の鎖元です。便器数は男性用大1、小2、女性用が3。休憩所は避難小屋の機能を有し、積雪時には2階の窓から出入りできるように梯子が設置されています。
◆新設された石鎚山公衆トイレ休憩所
◆休憩所・避難所の機能も
このトイレの特徴は環境を配慮した土壌処理方式が採用されたこと。設置後の故障が少なく、維持管理費用が比較的低コストであるため、高山におけるトイレで多く採用されています。そして、維持管理のためにチップ制を導入。1回あたり100円の協力金またはクーポン券を投入するようになっており、1000円で12枚のクーポン(本年6月より)を登山口などで購入することもできます。快適に利用できますが、処理能力に限りもあるので、なるべく登山口でトイレを済ませることや、使用したペーパーは分別するなど、登山者に引き続き理解を求めていく必要があります。
◆協力金をお願いしています
◆見た目は一般のトイレですが、表示された使い方に従って
このトイレ建設は、関係者にとっては長年の思いが実ったものでした。従来のトイレは古く放流式で使用がためらわれたり、自然への悪影響が懸念され、また登山道脇での排泄も後を絶たない状況がありました。長年関係者が抱いていた課題を直視し、石鎚山のトイレの在り方を提言しようと、愛媛県山岳連盟をはじめとする登山グループ・宿泊施設・地元で活動するNPOなどによって「石鎚山トイレ問題検討委員会」が平成22年に発足。並行して、愛媛県自然保護課の呼びかけによって「石鎚山クリーンアップ推進連絡会」が、西条市・久万高原町・石鎚神社なども加わってスタートし、現状の把握とともに、建設場所やトイレのタイプの検討、マナー向上のための啓発活動などが推進されました。
平成26年4月には推進連絡会を発展させた「石鎚山クリーンアップ協議会」が設立。トイレ完成後も、「石鎚山環境保全応援団」を募集して維持管理のための寄付金を募るとともに、保守点検の仕組みづくりや、従来のトイレの撤去、携帯トイレ導入など、「日本一美しい山のトイレ」を目指してクリアすべき課題が認識されており、知恵とマンパワーを出し合いながら一つずつ取り組んでいく方針です。
本格的な山歩きのシーズンを迎えた5月23日、石鎚山クリーンアップ協議会の主催で環境啓発登山が行われ、新しいトイレ休憩所でセレモニーを行い、ゴミを収集しながら下山しました。本年は石鎚国定公園指定60周年の記念すべき年。今回の啓発登山は、そのキックオフイベントと位置付けられ、8月9日(日)、9月12日(土)にも開催されます。11月1日(日)には愛媛県生涯学習センターで記念シンポジウム「地域の宝『石鎚』を未来へ(仮題)」が行われるほか、久万高原町・西条市双方でスタンプラリーやウォーキング大会、エコツアー、子供たちが石鎚山への思いを書いたテープを山頂までつなぐイベントなどが開かれるので、ぜひ注目してください。石鎚の自然の特徴や魅力を再認識し、未来に伝えるための機会となることが期待されています。
◆5月23日には久万高原町側の登山口・土小屋にみきゃんも登場
◆啓発登山のセレモニー
NPO法人石鎚森の学校のHPに「石鎚山のトイレ」のページが開設され、新しいトイレの使い方や案内図、「携帯トイレとは?」などの情報が掲載されています。
http://ishizuchi.net/restroom/
食品リサイクル・ループ
小学生の教科書に必ず出てくる「ごみ」ですが、多くの子ども達は、このテーマを学ぶ時期に、清掃工場やごみ処理施設等の見学に行きます。今回は、香川県観音寺市の廃棄物処理施設を取材しました。
説明して下さったのは、(株)パブリックの取締役常務の三野さんとループ事業部次長の鎌倉さん、多くの小学生が見学に来るだけあって、ユーモアを交えテンポよく案内してくれました。工場内には、手作業の選別ラインがあり、プラスチックから金属、木片までさまざまなものが運ばれ分別されていました。
最近、食品ロスや食品リサイクル・ループが話題に上がるようになりました。世界の穀物需給がひっ迫し、食料価格も上昇基調にある中、世界の生産量の3分の1にあたる13億トンの食料が毎年廃棄され、食品ロスの削減は世界的に大きな課題となっています。
こちらに到着した食品廃棄物は、グループ会社の(有)丸亀リサイクルプラザで堆肥化されています。見学した工場は、外見からは堆肥工場であることが全く分からない位、ニオイがないことに驚きました。脱臭対策には、木片チップを活用した独自のシステムが採用されています。
できた堆肥は、「リ・グリーン」という商品として販売。堆肥の安全性や信頼性を確保するため、自社農園のオーガニックファームで季節の野菜を生産し、指定管理で運営している健康交流施設おおのはら萩の湯で販売していました。
食品事業者とリサイクル業者、農業者等の協働により、堆肥化した食品残さを堆肥化した肥料を使って生産した農産物を販売する食品リサイクル・ループの取り組みが始まっています。まだまだ、主流化には至っていませんが、この流れが当たり前の時代になるのは、もうすぐです。