四国のすごい![四国EPOがすごいと思った四国の環境情報をお知らせします]
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香川県内での環境活動活性化

環境活動を長年続けている人なら、「地球環境基金」という名称を一度は聞いたことがあるかと思います。環境省所管独立行政法人環境再生保全機構が行う助成金事業で、毎年日本国内外の民間団体(NGO・NPO)が開発途上地域または日本国内で実施する環境保全活動に対し支援を行っています。

平成27年度は、総額6億円で209件の事業が採択され、件数・助成額とも過去5年間で最大となりました。助成金のメニューも多様化し、一般助成や入門助成、フロントランナー助成など、民間団体の成長段階や活動規模に応じて応募ができるようになりました。さらに、今年度からは、企業協働プロジェクトとして、一般社団法人日本釣用品工業会からの寄付による「つり環境ビジョン助成」がスタートし、さまざまな協働と支援の仕組みづくりが進められています。

そして、四国EPOでは、この助成金を活用し四国の環境活動活性化につなげようと説明会を各地で実施してきました。今年度も四国内の多くの団体が内定を受ける中、近年採択がほとんどなかった香川県内の団体が10年ぶりに4件も採択されたというニュースが入りました。その内訳は、入門助成でうどんまるごと循環コンソーシアムとみんなでつくる自然史博物館・香川、つり環境ビジョン助成で海守さぬき会とアーキペラゴでした。

これは、昨年の瀬戸内海国立公園制定80周年事業の数々や香川県が中心となって進めている里海事業など、「環境」を考える事業が近年注目されたことも要因としてあるのではと考えます。他県の方から、「最近、環境という言葉が政策の中で語られることが少なくなった。」という声を聞きました。「環境」をキーワードとした「政策協働」の大切さを各主体にどう伝えるか、これからのEPOのミッションを考えさせられました。

四国ESDシンポジウム

2月28日に愛媛県新居浜市にて四国ESDシンポジウムが開催された。今年で2回目となるシンポジウムでは、学校や多様な主体と連携し、各県の特色を取り入れた教育プログラムの作成、実証授業が発表された。

 

愛媛からは、松山市の小学2年生を対象とした「よいまちつくろう!~菜の花プロジェクト~」という題名のもと、菜の花の栽培を通して、植物が種から花を咲かせるまで成長する過程を観察する様子が紹介された。授業の一環で出会った地域の人々から話を聞き、自分たちで考え、意見を共有した。また、栽培した菜の花をおかゆにして食べる際には、紙やナイロンで食器を作るなどして、防災の視点も配慮した。さらに、栽培した菜の花は、JR松山駅に設置され、取組みについて地域の方に知ってもらうことができたようだ。

 

香川のプログラム「山・里・まちのつながりから未来を考えよう~善通寺弘田川調査から分かること」では、善通寺市の中学1年生が身近に流れる弘田川について、生徒の家族や地域の住民に聞き取りを行い、身近に流れる川の今と昔の違いを知ることから始めた。実際に、生徒たちは1月に川に入り、生息している生物を自分の目で観察、つながりを感じることができたようだ。その後、生き物と人間の共生についてグループごとの話し合いが行われた。

 

徳島では「暮らしの中の水を見つめ直そう~アフリカから学ぶ、ふるさとの安全な水と豊かさ」をテーマに、三好市の中学1年生が、日本から遠く離れたアフリカと日本の「水」事情を学び、子どもたちの身近を流れる吉野川について理解を深めるプログラムを実施した。同じアフリカでも都市部には蛇口のついた台所がある一方、農村部では水を得るために子どもたちが水汲みをしている現状があるなど、同じ地域でも違いがあることや10リットルの水を実際にバケツに入れて運ぶ体験を通して、アフリカの子どもたちの大変さを実感した。また、アフリカ支援を行う団体や環境カウンセラーから安全な水の確保が困難な地域があることや身近に流れる吉野川の水質は良好で、恵まれていることを科学的に理解し、地域の資源の豊かさを再認識した。

 

高知では香美市の小学5年生が、旅する蝶アサギマダラの観察を通して、自然環境の多様性や命の大切さを学んだ。マーキングを行うことでアサギマダラが持つ生命力を知るとともに、卵やサナギなどの観察を行い、成長段階が見分けられるようにもなった。また、住民から話を聞くことで、地域の歴史や文化を学ぶことができた。このプログラムを通して、生徒たちは「部分」ではなく「全体」を考えることができるようになったとのこと。

 

以上、いずれの取り組みも子どもたちは、「今まで考えることのなかった現状を知る」、「それぞれの視点で気づいたこと」から「自分達ができることを考える」、「実行に結びつける」という一連の流れを体験した。

 

ESDの視点は、多くの教科に関連するところがあり、工夫次第で通常の授業に取り入れることもできる。外部の協力などを得、地域に根差したプログラムを作ることで、子どもたちの視点の多様化やコミュニケーション能力の向上、ふるさとに対する愛着など、様々な成果が得られる。

 

ESDの取組みが学校をはじめ、社会教育の現場に浸透することを期待しつつ、引き続き、普及啓発に努めたい。

榧(かや)

(株)高知前川種苗会長 前川穎司さんは、趣味の囲碁が高じて碁盤の材料である「榧」の美しさに惚れ込み、高知と徳島の山にこれまでに10万本以上の苗木を植えてきました。榧の寿命は1,000年に及びます。しかし、杉やヒノキに比べて成長が遅く、成木になるまでには300年かかるため、雑草や他の木が伸びて陽光が遮られると枯れてしまいます。また、香ばしい果実は野ネズミの、やわらかい苗木はウサギの、若木はイノシシやシカの大好物。植えたら食べられの終わりのない競争を繰り返しながらも、前川さんは手間を惜しまず、丁寧に世話を続けています。

榧は、上品な光沢のあるきめ細かい木目と、ほど良い硬さを持っています。独特の弾力は、碁盤や将棋盤などで高く評価され、使い込むほどに美しい飴色に変わり、風格を増します。また、古くから水に強く腐りにくいことで知られ、家の土台や風呂桶、船の材料などさまざまな生活シーンで使われてきました。天然の殺菌作用を持ち、まな板や箸など、清潔さを求められる食まわりの品々にも適しています。

成長に時間がかかるだけでなく、伐採してからも、製品になるまでにかかる時間は15年と、大変な時間と手をかけて成長する木ですから、一般に流通せず、1990年代後半には中国も輸出を禁じて榧材が市場に出回ることはなくなってしまいました。(榧は世界で7種類あり、中国4種・アメリカ2種・日本1種)かつては日本の山に自生し、農家の庭先などにも植えられ古くから木材や果実が身近に利用されてきた榧。300年という長い時間をかけて大きく育つ榧の木は、日本の文化を伝える貴重な存在といえます。

端が見えないほど広い山の畑に規則正しく並んだ若木の希望にみちた姿は壮観で、あまりにも美しく、前川さんの心を励まします。いつか必ず、日本の山を榧の森にすると決めたのだから、動物にも自然にも負けません。 杉やヒノキの3、4倍の時間をかけて成長する、その長い長い月日を思えば、1年の失敗など、大した事じゃない。そう言って笑って、前川さんは今日もまた、山へ行くのです。

–参考・引用–(株)高知前川種苗「榧の話。」「お父ちゃんと榧の話。」より