2017/02/28

生物多様性「おりがみアクション」から広がる企業のCSR活動

■「おりがみアクション」の開催

子どもたちが折紙でゾウやチョウをつくっている。一番人気はヘラクレスオオカブト。スタッフから複雑な折り方を教わりながら小さな手で折っていく。難しいからこそ、集中して取り組み、出来上がったときのうれしそうな顔は印象的だ。

この取り組みは、会員制リゾートホテルなどを経営しているリゾートトラスト株式会社がお客様向けに全国で展開している環境貢献活動の一つである。2010年、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が日本で開催された際、国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)が主催した「おりがみアクション」の趣旨に賛同し、生物多様性のロゴである「おりがみで折った生き物」に10年後の地球へのメッセージを書いて未来に届けるという取り組みを継続的に実施している。

2016年11月26日会員制リゾートホテル、グランドエクシブ鳴門で「おりがみアクション」が開催され、地元、徳島の環境首都とくしま創造センターのスタッフや環境カウンセラーも活動に賛同されて、徳島県がすすめる温暖化防止啓発のパネル展示や啓発活動を同時開催した。リゾートトラストスタッフとの意見交換会では、ホテルにおける環境配慮、徳島県での生物多様性保全の取り組みなど、情報共有を行い、今後の発展に繋がるアイデアも出てきているそうだ。

また、これらの活動でのスタッフの楽しそうな笑顔もさることながら、この取り組みに関わることで、スタッフ自ら生物多様性について意識するようになったことや、「おりがみアクション」の企画検討を通じて、スタッフが一丸となることも増え、働き甲斐や内部コミュニケーションの活発化など企業体質の強化ともなっているようだ。

■自然とリゾート施設の共存に向けて

ここでは、「自然環境」「周辺環境」「職場環境」の3つの環境づくりを掲げ、人や自然を生かしたホテル経営を実践している。その考え方の一例として、

・施設建設時に樹木の伐採が必要な場合は、それ以上に周辺への植樹を行うことで、自然景観をできるだけ損なわず、緑豊かな状態に保つ努力をしている。

・ゴルフ場の芝生維持のために散布する農薬は、最も毒性が低いとされる農薬をグリーンのみに使用。排水は施設内の散水で再利用し屋外に出さない「クローズドシステム」を導入している。(グランディ浜名湖ゴルフクラブ)

・施設周辺の山林に不法投棄された廃棄物の撤去を含む、地域の清掃活動に参加。本年度は約11トンの廃棄物を回収。地域社会との関わりを大切にしている。(グランドエクシブ鳴門)

・「食」については、シェフ自ら小学校に赴き調理実習を行う「食育活動」や、お客様や地域の方に向けての「料理教室」を行っている。また、エクシブ淡路島ではスタッフ自ら野菜を栽培する「エクシブ農園」を行っている。「淡路島玉ねぎ」を中心に栽培しており、お客様が収穫体験をするプランはとても好評。お客様と地域をつなぐきっかけを提供、地域の価値を楽しく共有する取り組みを行っている。

持続可能な社会の実現に向けて、国連は2015年に「SDGs(持続可能な開発目標)」を採択した。企業活動に持続可能性を盛り込む動きは、今後ますます活発になることが予想される。サービス産業に環境配慮を取り入れるには工夫も必要であるが、「生物多様性」について考える機会があるリゾートというのも面白い。

また、このような企業の環境活動と、地域の環境NGO,NPOが連携して、更なる活動の広がりをどのように形づくっていけるのかも楽しみである。