2015/11/30

四国に広がる「こどものまち」~高知、徳島、愛媛の取り組みから~

子どもたちが楽しみながら世の中の仕組みを学ぶ取り組みが四国内で広がっています。発端はドイツのミニミュンヘンの取り組みですが、今年も四国各地でさまざまな特色のある「こどものまち」が開催されました。今回は愛媛、徳島、高知の取り組みを紹介します。

【愛媛県:こどもタウンin姫山小学校】

「こどもタウンin姫山小学校」は11月23日(月・祝)に開催されました。主催は、松山市清水地区で実施するに当たり、NEXT CONECTIONが清水地区まちづくり協議会と立ち上げた「こどもタウンプロジェクト実行委員会」。中心となったNEXT CONECTIONの越智さんは、この活動が地域の子どもたちが異年齢間の育ちあう場になることを期待しており、そこで地域のコアとなる学校との連携を重視して開催に至りました。

参加した子どもは姫山小学校の児童を中心に約100名で、低学年が多かったようです。子どもたちはまず会場を見学し、その仕組みについて学びます。その後、ハローワークで仕事を選び、決められた時間働きます。働いた後は銀行でこのまちの通貨「イット」をもらえます。1時間で10イットの給料で、その中から税金を支払います。残ったお金でゲームをしたり食事をすることも、銀行に預金もできます。もちろん働く子もいます。新聞社では実際にメモ帳を片手に取材。その後、新聞を作成・発行します。美容師の仕事では、大人のお客さんのヘアスタイルを整え、パーティ用のヘアスタイルが仕上がりました。舞台では劇団シアター「ネコ」による演劇が繰り広げられ、子どもたちは協力し合って観客からのお題を即興で表現します。それぞれプロの専門家が子どもたちの体験を支えています。また、ここでは保護者も来場できます。働くのは子どもですが、そのサービスの対象者となり、子どもの体験の機会を増やすとともに、この事業の狙いを共有していきます。

自ら考え、繋がり、表現できる子どもを育てる取り組みの一つとして期待されます。

 

 

 

 

 

 

 

【徳島県:うずっこタウン】

今年初めて7月20日(月)に開催されました。対象は小学3年生~中学3年生で、親子で参加できます。主催は「とくしま県民活動プラザ」、「社会福祉協議会」、「徳島市市民活力開発センター」。開催場所は地元のショッピングセンターのフロアです。

特徴的なのは、単なる職業体験ではなく、NPOの協力による社会貢献活動の体験です。ドイツ語で歌う「第九」や、食品衛生などを学び、食べ物の調理・販売を行ったり、ごみの分別回収などの体験が全部で14。体験メニューはあらかじめ提示され、子どもたちは参加申し込みの際に登録する仕組みです。仕事が終わると地域通貨「プララ」がもらえ、タウン内で販売している食べ物や小物などを購入する時に使えます。NPOの得意な活動を活かした取り組みで、約50名の子どもが参加しました。

【高知県:とさっ子タウン】

これまで7回開催されている「とさっ子タウン」は、毎年8月第3土日の2日間、開催されています。この事業の主催は、「とさっ子タウン実行委員会」「高知市市民活動サポートセンター」「NPO法人NPO高知市民会議」。「こどものチカラを信じよう」を合言葉に集まった高校・大学生を中心とした実行委員約100名が年間を通して会議を実施し、運営費から協力者の募集、まちの設計、運営などを話し合いを重ね、若者が育ち合う仕組みが内包されていることでも注目されています。 

参加する子どもは県内の小学4~中学3年生約400名。開催場所は高知市文化プラザ「かるぽーと」。子どもたちは約40種の職業体験や遊びの他、市長や議員となり、こどものまちのありかたも検討していきます。保護者は参加できませんが、活動の様子は写真展やビデオなどで見ることができます。働いて得た地域通貨「トス」は後日商店街で買い物ができる仕組みもあります。

子どもたちが職業体験やまちの運営に関わることで、社会のしくみや一人ひとりの権利と責任に気づき、協力し合ってまちをつくることができる異年齢間のこども同士のコミュニケーションの場となっています。

 

以上のように、「こどものまち」と言っても対象年齢や地域や開催場所などがさまざまです。しかし共通しているのは、子どもたちが社会の疑似体験を通して本当のコミュニケーション能力を高め、生きる力を育てること。

一方で取材を通して思ったことは、大人の繋がるチカラ、育てるチカラも試されていると感じました。各地でこのような活動が広がることを願っています。