四国のおすすめ [高知県] 2022/03/18

小さな林業の大きな可能性

NPO法人84プロジェクトは、2020年度に環境省の地域循環共生圏プラットフォーム事業の採択を受け、2021年度で2カ年事業が終了しました。2022年3月18日には、2カ年事業をしめくくる84フォーラムが、高知県安芸市で開催されました。このフォーラムでは、小さな林業実践者からの報告提案、持続可能な日本の国土づくりを進める上で自伐型林業が果たす防災的な視点からみた役割などが紹介され、地元の関係者とともにSDGsの可能性を考える機会となりました。

自伐型林業を成り立たせる条件に、①林木の成長量を超えない間伐生産での自立、②壊れず使い続けることのできる小さな林内作業道の敷設、があります。中央構造線の南側にあたる高知県の山側の山林は、その条件を考慮するだけでなく、肥沃でミネラル分豊富な恵みを生かすために、破砕帯などの土地要因に対して、配慮ある施業が不可欠であるということを認識しました。

また、同プロジェクトは、森林施業の側面だけでなく、背を向け閉ざされてきた森をデザインや編集の力でわかりやすく伝え、コミュニケーションを快適にする取り組みも継続して進められました。当日のフォーラムの登壇者からは、動画や映像資料を使い、森林管理の仕事を一般の人にわかりやすく伝える必要性を「おかゆ化」という言葉で表現されるなど、デザインが担う役割と可能性を再確認することができました。

この2年間の取り組みで、同プロジェクトは、高知県内のさまざまな自治体や住民等に対し、自伐型林業を伝え、実践者の声を紹介しながら賛同の輪を広げる取り組みを展開してきました。84%の森林率を持つ高知県の森林を持続可能な形でどう活用すべきかの問いに対し、高知県佐川町では、地域おこし協力隊や移住者を中心とした小さな林業の実践者35人が誕生した報告もありましたが、このことは、1つの可視化された成果と言えます。

これらの取組は、2022年度に発行される環境白書にも取り上げられる予定です。また、四国内でも民間取組等と連携した自然環境保全(OECM)の普及啓発が始まることから、先進的な取り組み事例としても、期待が寄せられています。