中国四国地方環境事務所が、岡山県内におけるスイゲンゼニタナゴの危機的状況についてお知らせ
外来タナゴ類が、国内希少野生動植物種スイゲンゼニタナゴの生息地に侵入し、スイゲンゼニタナゴが脅やかされています。
従来岡山県下には自然分布しない、国外由来の外来タナゴ類と国内由来の外来種「カゼトゲタナゴ」の交雑個体(以下、「外来タナゴ類」という。)の生息が国内希少野生動植物種「スイゲンゼニタナゴ」の生息域で確認されました。
その後、スイゲンゼニタナゴと外来タナゴ類の交雑個体も確認されました。また、当所実施の調査において、外来タナゴ類の生息分布域が年々拡大していること、スイゲンゼニタナゴとの交雑個体も増加していることが判明しており、形態、生態の類似したスイゲンゼニタナゴとの競合や交雑により、スイゲンゼニタナゴの存続が危ぶまれています。
【!お願いします!】
・外来タナゴ類を捕獲しないでください!(違法行為となる恐れがあります)
・飼っている生き物は逃がさないでください!
【スイゲンゼニタナゴについて】
学名:Rhodeus atremius suigensis
岡山県及び広島県の一部にのみ局在します。全長約4cmで、日本に分布するタナゴの中で最も小型です。約1年で成熟し、野生下での寿命は約2年です。淡水二枚貝のイシガイ科二枚貝のエラ内に産卵します。
主に、平野部から山間部にかけての細流や河床湧水がある中小河川、石組護岸や土護岸で自然河床を持つ灌漑用水路の流れの緩やかな場所等に生息します。
・絶滅危惧ⅠA類(環境省レッドリスト2020)・種の保存法による国内希少野生動植物種
【外来タナゴ類について】
■確認された場所
岡山県内
*詳細は捕獲や放流を防止するため非公表
■現在までに判明していること
●野外に、スイゲンゼニタナゴと近縁、同属の3種類のタナゴが交雑した雑種が生息している
・流通名カラゼニタナゴ(Rhodeus notatus)
・図鑑等に記載されていない不明種(Rhodeus sp.)
・カゼトゲタナゴ(Rhodeus atremius atremius:九州北部と長崎県壱岐に自然分布)
※このページでは、この3種類のタナゴが交雑した雑種を外来タナゴ類と呼んでいます。
●外来タナゴ類は、見た目がスイゲンゼニタナゴと非常によく似ている
●スイゲンゼニタナゴと、外来タナゴ類が交雑する
●スイゲンゼニタナゴと外来タナゴ類の交雑個体も繁殖能力がある
繁殖力は非常に強く、駆除が追い付かないほど増加しています。
■侵入経緯
具体的な流入経路については不明です。
カラゼニタナゴ及びカゼトゲタナゴは観賞魚として流通が確認されていること、自然に侵入することは困難なことから、誰かが意図的、または非意図的に放したおそれが高いです。
【ご協力のお願い~外来タナゴ類を捕獲しないで・生き物を野外に放さないで~】
■外来タナゴ類を捕獲しないでください!
スイゲンゼニタナゴは、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」に基づく国内希少野生動植物種に指定されており、その捕獲等が原則として禁止されています。捕獲の可能性がある場合には、環境省の事前の許可が必要です。
スイゲンゼニタナゴと外来タナゴ類を見た目で区別することは困難であり、誤ってスイゲンゼニタナゴを捕獲する可能性があります。したがって、スイゲンゼニタナゴの分布域において、外来タナゴ類やその交雑個体を捕獲しないでください。
■生き物を野外に放たないでください!
タナゴ類に限らず、メダカ、金魚等も含め、鑑賞魚や野外から採集してきた生き物を遺棄したり、みだりに放したりしないでください。日本の在来種でも、やめてください。
水槽の水の入れ替えや掃除をする際にも、飼育する生き物や水草が流出しないようにご注意ください。例えば、水替え時に、水槽内の貝類や水草に産み付けられた卵、ちぎれた水草が河川に流入することで、地域の生態系を乱すおそれがあります。
魚に限らず、飼育している生き物を野外に放つのはやめましょう。
国民の皆様のご理解とご協力をお願いします。
※詳しくは、下記詳細ページよりご確認下さい。
【詳細】
地方環境事務所>中国四国地方環境事務所>トピックス>岡山県内におけるスイゲンゼニタナゴの危機的状況について(外来タナゴ類の確認について)
https://chushikoku.env.go.jp/procure/alienbl.html