2016/09/01

日常の「買い物」で地域の環境保全に貢献する 高知県香美市 土佐山田ショッピングセンターの取り組み

日常の「買い物」で地域課題の解決に役立つことができたら、気軽に社会貢献ができるのでうれしいことだ。

高知県香美市にある土佐山田ショッピングセンター(代表取締役社長 石川靖)では、対象商品を購入することで地域活動に寄付ができる取り組みを3年前から期間限定で実施しており、今年は7月29日から9月11日まで。

具体的には、対象商品を消費者が購入すると1商品につき1円がNPOに寄付される仕組みで、農水産物から加工品、トイレットペーパーなどの日用品やお酒など、高知県内の商品を中心に約200アイテムがある。対象商品には「DONATION」カードが提示され、消費者が商品を選ぶ際の参考となっている。8月30日までの寄付額は155,244円ということで、この1円に消費者の気持ちが込められている。

寄付つき商品チラシ

今年の寄付先は「三嶺の森をまもるみんなの会」(代表:依光良三)で、この地域を流れる物部川の源流域の森でシカの食害から森を守る活動に送られる。この地域は、シカの食害が顕著になる前は大雨が降っても持ちこたえられる「盤石な森」であった。しかし2007年以降は非常にもろい「脆弱な森」になっているという。この団体は2007年から活動しており、シカから樹木を守るため網で巻いたり、防護柵で植物の保護域を作るなどの他、裸地化しもろくなった山肌に土砂流出防止のマットを貼るなどの活動を行っており、その効果は徐々に現れてきている。また、地域のこどもエコクラブの活動にも関わっており、子どもたちが流域環境を関連づけて考えるきっかけとなっている。

寄附付き商品4 エコクラブ新聞

土佐山田ショッピングセンターとこの団体との出会いは、2016年1月29日に行われた「つなげよう、支えよう森里川海ミニフォーラムin高知・物部川」で、石川社長が依光代表の講演を聞いたことから始まった。石川社長は「子どもの頃泳ぎを覚えたのは物部川で、山にも行ったこともあった。しかし、その後何十年も川や山の事は意識から遠ざかっていた。この機会に山に行くと、以前はスズタケが生い茂り登山道との区別が分かりやすかったが、今は何処でも登山道のような感じでその変わり様に驚いた」ということだ。

土佐山田ショッピングセンターの社是は、「売り手よし、買い手よし、地域よし」の「三愛主義」。買い物することで地域が良くなることを目指した今回の取り組みは、スーパーの本業を活かした社会貢献活動として注目される。消費者にとっては寄付つき商品を購入することで活動を支援する「参加」の意識が芽生え、NPOにとってみても活動資金の確保とともに支援の層を広げられることで活動への励みにつながることとなる。

地域課題解決につながる多様な工夫に今後も注目していきたいものだ。