2015/06/11

石鎚山で環境配慮型トイレ本格稼働

 西日本最高峰の石鎚山(1982メートル)に、平成26年11月20日、石鎚山公衆トイレ休憩所がオープンしました。場所は、西条市側の登山口・成就からの登山道と久万高原町側の登山口・土小屋からの登山道が出合う地点、標高1820メートルの二の鎖元です。便器数は男性用大1、小2、女性用が3。休憩所は避難小屋の機能を有し、積雪時には2階の窓から出入りできるように梯子が設置されています。

 

◆新設された石鎚山公衆トイレ休憩所P1

◆休憩所・避難所の機能もP2

 

 このトイレの特徴は環境を配慮した土壌処理方式が採用されたこと。設置後の故障が少なく、維持管理費用が比較的低コストであるため、高山におけるトイレで多く採用されています。そして、維持管理のためにチップ制を導入。1回あたり100円の協力金またはクーポン券を投入するようになっており、1000円で12枚のクーポン(本年6月より)を登山口などで購入することもできます。快適に利用できますが、処理能力に限りもあるので、なるべく登山口でトイレを済ませることや、使用したペーパーは分別するなど、登山者に引き続き理解を求めていく必要があります。

 

◆協力金をお願いしていますP3

◆見た目は一般のトイレですが、表示された使い方に従ってP4

 

 このトイレ建設は、関係者にとっては長年の思いが実ったものでした。従来のトイレは古く放流式で使用がためらわれたり、自然への悪影響が懸念され、また登山道脇での排泄も後を絶たない状況がありました。長年関係者が抱いていた課題を直視し、石鎚山のトイレの在り方を提言しようと、愛媛県山岳連盟をはじめとする登山グループ・宿泊施設・地元で活動するNPOなどによって「石鎚山トイレ問題検討委員会」が平成22年に発足。並行して、愛媛県自然保護課の呼びかけによって「石鎚山クリーンアップ推進連絡会」が、西条市・久万高原町・石鎚神社なども加わってスタートし、現状の把握とともに、建設場所やトイレのタイプの検討、マナー向上のための啓発活動などが推進されました。

平成26年4月には推進連絡会を発展させた「石鎚山クリーンアップ協議会」が設立。トイレ完成後も、「石鎚山環境保全応援団」を募集して維持管理のための寄付金を募るとともに、保守点検の仕組みづくりや、従来のトイレの撤去、携帯トイレ導入など、「日本一美しい山のトイレ」を目指してクリアすべき課題が認識されており、知恵とマンパワーを出し合いながら一つずつ取り組んでいく方針です。

本格的な山歩きのシーズンを迎えた5月23日、石鎚山クリーンアップ協議会の主催で環境啓発登山が行われ、新しいトイレ休憩所でセレモニーを行い、ゴミを収集しながら下山しました。本年は石鎚国定公園指定60周年の記念すべき年。今回の啓発登山は、そのキックオフイベントと位置付けられ、8月9日(日)、9月12日(土)にも開催されます。11月1日(日)には愛媛県生涯学習センターで記念シンポジウム「地域の宝『石鎚』を未来へ(仮題)」が行われるほか、久万高原町・西条市双方でスタンプラリーやウォーキング大会、エコツアー、子供たちが石鎚山への思いを書いたテープを山頂までつなぐイベントなどが開かれるので、ぜひ注目してください。石鎚の自然の特徴や魅力を再認識し、未来に伝えるための機会となることが期待されています。

 

◆5月23日には久万高原町側の登山口・土小屋にみきゃんも登場P5

◆啓発登山のセレモニーP6

 

NPO法人石鎚森の学校のHPに「石鎚山のトイレ」のページが開設され、新しいトイレの使い方や案内図、「携帯トイレとは?」などの情報が掲載されています。

http://ishizuchi.net/restroom/